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賃金と損害賠償の相殺について

従業員のミスで商品や備品を壊したり、お得意様を怒らせて仕事がもらえなくなったり・・・
人を雇っていると何かとトラブルは発生するもんです。

「まじめに仕事をしてやったことだし、あいつも悪気があってやったんじゃないだろう。」と、ぐっとこらえて我慢することも多いんじゃないでしょうか。

それなのに、ある日突然、「今日で仕事辞めま~す!」なんて言い出されたりしたときには、「今までの恩も忘れてふざけたこと言いやがって! そっちがその気なら今までの分全部弁償させてやる!」と思っちゃいますよね。

でも、気を付けてください。
支払うべき賃金が30万円で弁償額が20万円あるからといっても、社長さん側から一方的に相殺しちゃいけません。




ここに注意

労働基準法24条1項では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と決められています。
また最高裁判例でも、「同条項は、労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当である。このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても変わりはない。」(最高裁判決 昭36.5.31 日本勧業経済会事件)として、使用者側からの一方的な相殺を禁止しています。

ですから、たとえ労働者側にどのような非があったとしても、働いた分についての賃金はきちんと支払ってあげる必要があるわけです。
(もちろん、労働者が無断欠勤するなどして働いていない分については、ノーワークノーベイの原則に従って、賃金支払い義務がないことは言うまでもありません。)

なお上記の規定は、実際に損害を与えた分についての請求までを禁止するものではありません。
ですから、労働者の過失によって20万円の損害が実際に生じたとするなら、その分については請求が可能です。
実際的には、賃金30万円を支払ったうえで、改めて(もしくは払うと同時に)20万円の請求を起こすということになるでしょう。

じゃあ、たとえば労働者が車をぶつけてその修理代が20万円かかったからといって、全額請求してもいいんでしょうか?

「20万円のうち8割が車両保険で処理できた。」なんて場合に、20万円まるまる請求すれば二重取りになってしまいますよね。
それだけではなく、『使用者と労働者の経済力の差や、事業活動によるリスクはそれにより利益を得ている使用者が負うべきであるという危険責任・報償責任の原則』から、会社の損害賠償請求を一定の割合で制限しようとするのが判例の立場です。

ですから、実際の負担割合については、その業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の内容、会社の日頃からの予防対策の状況などを総合的に考慮して、損害の公平な分担という見地から相当と認められる限度となるでしょう。

つまり、全額請求は難しいということです。



こうすればいい

禁止されているのは『一方的な』相殺です。
判例でも「労使間の合意によって相殺することは、それが労働者の完全な自由意思であるものである限り、全額払いの原則によって禁止されるものではない。」とされています。
ですから、賃金と債権を相殺する場合は、必ず労働者の同意を得るとともに、後日のトラブルを防ぐためにも書面を交わしておくようにしておきましょう。



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